(23) X線光電子分光(XPS)分析
概要
X線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy:略してXPS。ESCAとも称する。)は、試料表面に軟X線を照射し、発生する光電子の結合エネルギーを測定します。試料を構成している元素と組成(定性分析、半定量分析)、元素の化学状態(状態分析)を調べることができます。検出される情報は、試料の極表面層(数nm)のものであり、Arイオンスパッタリングを組み合わせることで、深さ方向の測定を行うこともできます。
励起源が軟X線のため、導通がない試料の測定も可能です。
適用対象
- 金属全般、セラミックス、半導体、薄膜、フィルム 等
分析項目
- 広域・狭域光電子スペクトル測定による、試料構成元素の定性・半定量分析(Li~U)
- 状態分析
- 上記分析とArイオンスパッタリングを組み合わせた、深さ方向測定
適用例
- 基板や回路等の表面付着物の定性・半定量分析
- 金属表面の変色原因調査
- 基板上に製膜された薄膜や、酸化皮膜等の深さ方向組成分析と状態調査
保有機器の主な仕様
- 分析元素
- Li~U
- X線源
- Al単色化線源
- X線ビーム径とX線出力
- 9 um 1 W ~200 um 45 W
測定例
- 1) 純銀の板材に発生した変色部の測定例です。変色部からは、Sが検出されました。S2pスペクトルの光電子エネルギー値から、Sは硫化銀と して存在していることが分かります。また、検出元素の深さ方向分析から、硫化層の厚さは約5 nmであることが分かります。
- 2) ステンレス鋼板表面の酸化膜(自然酸化膜及び熱酸化膜)の測定は、
- をご参照ください。
お問い合わせ
お気軽に下記よりお問い合わせください。
受付時間:9時~17時 ※土日祝日および弊社休業日を除く