(43) 損傷調査例-1 (疲労破壊)

概要

○構造物や機械部品の損傷は、破損面が保存されている場合は、そのマクロ・ミクロ的な破面形態を観察することが、損傷原因調査の最も有力な手段となります。特に、SEMによるミクロ破面観察は、破壊様式や起点の特定に決定的な証拠を提供できます。
○この調査例では、建築構造物に使われていて疲労破壊を起こしたボルトについて紹介します。図に示すように、外観観察から、ボルトはねじ溝に沿って破断していることが分かり、また、マクロ破面観察からボルトには両振り方向の繰返し応力が加わっていたことが分かります。さらに、破面をミクロ的に拡大観察すると、破面にはストライエイションパターンが観察されることから、ボルトは疲労破壊を起こしたことが確認できます。
○本調査で、「ボルトは、構造的・形状的に応力が集中するねじ溝底部に、両振り方向の繰返し応力が加わり、疲労亀裂が発生・伝播し、破断に至った」と判断できます。そこで、対策として、①構造物本体の振動を極力抑えるような構造にする、②ボルトを高強度の材質に変える、③ボルトを均一にしっかり締めるなどが提案されます。

外観観察(模式図)

[外観観察(模式図)]

マクロ破面観察(亀裂伝播方向:模式図)

[マクロ破面観察(亀裂伝播方向:模式図)]


 

 

SEMによるミクロ破面観察

[SEMによるミクロ破面観察]

ストライエイションパターン→疲労破壊の証拠

 

 

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